インドネシアからの実習生を受け入れるにあたり、最も重要なポイントはやはり、イスラム教国という点です。とは言え、Vol.1でも触れたようにインドネシアのイスラムは我々のイメージするイスラムとはまた違ったものであることも事実です。
今回はインドネシアのイスラムとはどのようなものか?
受け入れるにあたり、どのような注意が必要か?今回もまた5つの視点からご案内いたします。
1:実習生の宗教
インドネシア人の信仰する宗教の割合はイスラム教87.2%、キリスト教9.8%、ヒンズー1.6%となっています。
面接でも候補者のほぼ全員がイスラム教徒ですが、候補者は実習生として訪日する場合、イスラムの教義を最優先にできない環境である事を理解して応募しています。元々、インドネシアのイスラムは厳しいものではないのですが、近年ではさらに熱心な若者は減っているそうです。こういった状況は技能実習生として日本へ行く事に対しては追い風となっている様子です。
ときおりクリスチャンの候補者が混じることもあります。実習生として来日する場合、同じ寮で生活する事になりますので、基本的には同じイスラム教の候補者の採用をおススメします。他宗教の者もこれまで大多数のイスラム教徒の中で生活してきたことから、ある程度は慣れている、という話なので必ずダメ、という訳ではありません。
面接の際、候補者の宗教を確認する事、異なった宗教の候補者同士を採用する際はキッチン使用など寮のルールを決める事は重要な点です。
これはすでに他国からの実習生が会社に在籍しており、同じ寮になる場合にも同じことが言えます。
2:断食 (ラマダン)
2023年のラマダンは3月24日から4月22日まででした。毎年少しずつ時期が前後ようですがだいたいこの時期です。これが終わるとレバラン(イスラムのお正月)です。
ラマダン中は日中の飲食はひかえるようにし、日が落ちてから飲食するそうです。
私は全く食べてはいけないのかと勘違いしておりましたがそうではないのですね。
候補者たちの大半は、日本での断食は現実的に難しい事を理解し応募していますが、念のため、面接の場でも再度確認する事をおススメ致します。
また、この期間はベトナムのテトの前のようなイメージで、候補者が集まらないため、インドネシアでの面接はできません。
3:お祈り
イスラム教のお祈りは毎日 夜明け前、昼、午後、日没時、夜の5回、行われています。
インドネシアではこの時間にはアザーンと呼ばれるお祈りの時間であることを示す歌が流されています。初めてインドネシアに来られる方は少し驚かれるかもしれません。
また、金曜日午後は男性のみお祈りがあります。とは言え、面接合格後、全ての実習生がお祈りをしているわけではありません。配属後も基本的に お祈りは仕事が終わって寮に帰ってから行ってください。というルールをお願いしています。
4:女性のヒジャブについて
イスラムの女性の仕来りでヒジャブ(頭にかぶるスカーフのような布)があります。また、モスク参拝の際にはこれ以外にも長袖着用で肌を見せない決まりがあります。
インドネシアの一般の女性でも被らない方もいるようですが、それぞれの家の方針次第による部分で、「被らない=信仰が薄い」というものでもないそうです。
女性の実習生は送出機関のルールで取っている場合もありますが、来日後、外すことを強制はできません。日本の生活に慣れてくると、自分から外すようになるという話も聞こえてきます。
日本の夏はインドネシアよりも暑いのでそれも理由かもしれませんね。
5:豚肉とお酒
イスラムの教義としてお酒と豚肉は禁止されています。
とは言え、寛容なイスラムなので男性の中には、実はお酒を飲んだことがある実習生もいるとか。ただ習慣的に飲んでいる人はほとんど皆無のようです。
反対に喫煙率はやや高め。ただ、インドネシアでの収入に対してタバコの価格は高めなので1日に吸う本数は少ないようです。
豚肉に関してはあくまで、食べてはいけないという事で、総菜製造など豚肉を扱う職種にも大きな抵抗がない者も多いです。ある送り出し機関の話では、インドネシアでは 昔から台湾へ家政婦としての出稼ぎも多かったそうですが その際にも問題になった事はなかったという話です。
実は現地でも豚肉はかんたんに手に入ります。面接時の実技試験で実際に豚肉を調理してもらう事も可能です。
いかがだったでしょうか。
私自身、まだインドネシアのイスラムの理解は100%だとは思えません。
今回ご紹介したことも あくまで 実習生として日本へ行きたい若者の ひとつの側面にすぎません。
また、時代や出身地により変化するところも大きいのだと思われます。
これからまた時間をかけ、理解を深め、新たに見える事があればこちらで発信いたします!