みなさんこんにちは!
ジャカルタの下村です。
今回までに、色々な方から
「インドネシアの首都が移転すると聞いたけど、どうなの?」
という話題をいただいてはその都度お答えしてきたのですが
今回は改めてこの件について見解を述べてみたいと思います。
と書くとなんだか駐在みたいでかっこいいですね。ステキですね。
ただ、そこまで固くならず、ざっくばらんにいってみようと思います。
インドネシアのこれからを語るうえで、首都移転がどう進むのかは避けては通れない話題なので、
この点を軸にインドネシアのこれからを予想してみましょう。
1どうして首都移転?
まずはどうして首都を移転する必要があるのか?ですが、
大きく二つの理由をよく耳にします。
また、この計画は最近になって始まった話ではなく、過去、何人もの歴代の大統領が実行しようとしてきた経緯もあるようです。インドネシア政府にとっては、「悲願の」という思いもありそうですね。
2億7000万の人口を抱えるインドネシア。
そしてその人口の半分以上が国土全体の10パーセントにも満たないジャワ島に住んでいる
という状況を踏まえてお読みください。
1-1これからインドネシアがすみずみまで発展するために
インドネシアは西のスマトラ島、ジャカルタのあるジャワ島、その東には有名なバリ島をはじめ、ロンボク、スンバワ、スンバ、フローレスと、たくさんの島々が連なります。
そういったたくさんの島々の、距離的な中心に首都を構えた方が、より全体を見やすくなる、というものです。
その中心が新首都ヌサンタラの予定地となるカリマンタン島(日本人にとってはボルネオ島と言った方がなじみがあるかもしれませんね。)となった理由のようです。
確かに、以前訪問した実習生の実家、インドラマユやロンボク島を見ても、ジャカルタは特別な場所として、その近隣都市、ブカシなど中堅都市と比較してもその差は大きく、地方と都市部の発展の格差は非常に大きいので、この解決をしやすくするためというのは合点が行きます。
日本に置き換えると、首都を東京から地図上の日本の中心、(所説あるようですが)長野県に変える、というようなイメージでしょうか。
1-2ジャカルタはもう満員 もう限界
これは住んでみて納得なのですがジャカルタは非常に多くの問題を抱えています。そしてそのほとんど全ての原因は、人が多すぎるという事。
大気汚染 → 車、バイクが多すぎる → 人が多すぎる
渋滞 → 車、バイクが多すぎる → 人が多すぎる
地盤沈下 → 違法な地下水のくみ上げ → これも違法に住む人も多いのが原因だとか。
首都機能を移転させれば、それに携わる人間(政府関連の方)だけでなく、その方々のための商業施設なども必要になります。そういった場所で働く人も新首都ヌサンタラへ移れば、ジャカルタの人口は減り、上記の問題は解決の方向へ向かう事が期待されている という事のようです。
2どうやって首都移転?そしていつ?
現在すでに急ピッチで工事が進んでいるようですが(おそらく日本でも時折ニュースになっていると思います。)首都移転にかかる費用は日本円で総額約4兆円。大きすぎてよく分りませんね。
そしてその8割を投資で賄う予定との事。これはなんとなくヤバそうな感じ。
以前、ソフトバンクグループの孫氏がこの投資から撤退するというニュースもありました。
また、投資してもらう先としてインドネシア政府は中国を想定しているようですが、
当の中国も最近、経済的に良いニュースがないというのが正直なところ。
未確定な部分が多い投資が全体の8割となれば、予定通り行かない可能性は高いのが当たり前ですが、こういったニュースを見ると インドネシアさん、大丈夫?と思ってしまいますね。
ただ、なんとなくですが、インドネシア政府も当然そのことは承知した上での計画なのだと思います。
なので正直、2025年とはしているものの、首都移転の正式な発表はインドネシア政府にもいつになるかわからない、そして実質的な移転となると、もっといつになるかわからない。といった状況じゃなかろうか。というのが私の本音です。
などと言っていると、この秋に予定していた公務員のヌサンタラへの移動も年明けに延期になった、というニュースも。
3 首都移転したとして
我々日本人からすれば首都=経済の中心であり、文化の中心と思いがちですが、世界の国々を見てみるとそうではない国もたくさんあります。
例えばアメリカは首都はワシントンDCですが経済の中心はニューヨーク、
ドイツの首都はベルリンですが経済の中心はバイエルンですね。
我々にとって馴染み深いベトナムも、首都はハノイですが経済の中心はホーチミンシティです。
おそらくインドネシアも、首都がヌサンタラに変わっても、経済の中心は依然、ジャカルタのままになるでしょう。
経済の中心にする計画なら、政府機能を移転するだけではなく、ジャカルタに多く居る、富裕層や華僑の方など、購買力の強い方々にも移転してもらうための政策がなければ経済は強くはなりませんからね。(将来的にはその件も視野に入れたいから、の投資先が中国の想定だったのかもしれませんね。)
ただ、そういった政策はまだまだ先の話で、まずは首都機能の移転、といった段階ですね。
4 地方が強くならなければ
これは新首都の成功とは少し別の話になりますが、ジャカルタの人口を減らすには、地方を強くする方が重要と感じます。実習生の候補者たちの故郷では、最低賃金は一か月約2万円~2万5千円。
一方ジャカルタは5万円前後となっています。
雑に日本に置き換えると、東京に行けば月給40~50万円の仕事がある、というような状況なので
人がジャカルタに集まってしまうのも当然の事と言えますね。
こういった状況を変えなくては、ジャカルタから新首都へ移転する人がいても、その空きに新たにまた田舎から出てくる人がいて、結局ジャカルタの人口は変わらず、となってしまいそうな気がします。
実際にそのような働き方をする人は多いようで、面接合格後の実習生の中にも以前ジャカルタで働いていた経験のある者もいますし、おしゃべり好きなタクシー運転手と話していてもジャカルタ出身者と地方出身者が半々という状況です。チャンスがあればジャカルタに働きに出たい地方出身者がまだまだ多そうな事が伺えます。
5 実習生の採用に影響は
当面は大きな影響はないと感じます。新首都がいつ機能するかわからない状況ですし、機能したとしても、なんだかんだジャカルタは我々外国人にとっても過ごしやすい場所です。ヌサンタラが同じレベルの都市になるかはわかりません・・・よって面接場所はジャカルタから変わらず、となると思います。
ただ、現状ヤマトデータベースと提携する送り出し機関様からの実習生候補者の多くは、ジャワ島、スマトラ島からの若者ですが、新首都ヌサンタラが機能し始めれば、面接場所がそこに変わる、という事態にまではならずとも、カリマンタン島からの候補者や、新たに送り出し機関様がカリマンタン島にできた日本語学校と提携する可能性はおおいにあります。
これは良い事のように感じますね。
こちらで面接の対応をしていると、(特に候補者の出身地を見ていると)インドネシアは広大な領土、島を有しています。
しかし、実習生として日本へ行くチャンスがあるのはまだまだ限られた一部なのだろうと感じる場面も多々あります。
なので、少しでもその点が変わるきっかけになれば、首都移転は我々にとってもいいもの、と言ってよいと思います。
6 締め!
いかがだったでしょうか。
ただ、こっちに住んでるだけの素人が偉そうに他人の国についてあーだこーだ言うのは少し気も引けますし、どうしてもネガティブな意見が多くなったと自分でも感じます。
(この記事を読んだインドネシアの方、ごめんなさい。)
もひとつ言えば、ただの予想なので、外れてもクレームは受け付けられません。
しかし、実習生の採用に関しては良い未来に繋がりそうな気もします。
インドネシアのこれからが、その新首都が、この先どう進展していくか、
期待を込めてこれからも見守っていきましょう!
それでは、また!