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VOL.063 実習生のリアル4 面接合格後の勉強会

みなさん こんにちは!

ジャカルタの下村です。先日X(旧ツイッター)を見ていると非常に気になるニュースが
Indonesia to give visa-free entry to people from 20 countries Yahoo!NEWS
我々日本人は10月からインドネシアに入国する際のビザが必要なくなるかもしれない、との話。
(ちなみにベトナム人は同じASEAN内の移動となるため、元からビザは不要。)
まだどうなるかはわかりませんが、もし実現すれば訪インドネシアが一段階スムーズになりそうです。

これは期待できる良いニュースですね。

実習生の勉強会

さて、今回は私のこちらでの仕事のひとつ
面接合格後の実習生への勉強会についてご紹介いたします。
中国、ベトナム、インドネシア・・・と、ヤマトデータベースではこれまで色々な国からの実習生を受け入れてきましたが、面接合格後から訪日までのスケジュールはどこの国からでもほぼ同じです。
訪日までの約半年間は送出機関で、日本語の勉強をすることになります。

もちろん、その間何度かは実家に帰省することも可能なのですが、基本的には実習生たちはこの期間を送出機関学校で日本語の勉強と、寮での共同生活、また筋トレやランニングで体力づくりなどを行いながら過ごします。

また、この期間中は「送出機関学校のルールをきっちりと守る事」も勉強の一つです。

これまでベトナム、インドネシアと現地での生活を経験してきましたが、比べてみるとやはり日本のルールはとても細かく、厳しいので、ルールを守る ということを学ぶのは非常に重要です。

そのルールを教えなくてはなりません。

はい。その、日本でのルール を教えるのが私の勉強会での目的です。

そのルールと言っても、「実習生はアルバイトはしてはいけない」だとか、「実習生が受けなくてはならない技能検定というテストが1年目と3年目、2回あるんだよ」だとか、「組合の先生は毎月一回、みんなに会いに行くよ」だとか、そういった内容ももちろんですが、それ以上に、これまで 「いろんな国から来たいろんな先輩がしてしまった失敗

を教えています。

例えば・・・

  • 排水溝に油を流していたら固まって詰まってしまい、修理にお金がかかってしまったよ・・・
    (これは常に暑く、油が固まる温度の経験が少ないインドネシアからの実習生には重要です。)
  • 財布に入れるお金はいつもできるだけ少なくした方がいい。その方が落とした時に返ってくる可能性が高いよ・・・
  • 「いただきます!」「ごちそうさま!」は絶対言おうな!
    そうすれば、また次も誘ってもらえるかもしれないよ!

だとかです。

「ルール」ではなくうまく「生活するコツ」のようなもの

これは厳密に言えばルールではなく、トラブルなく日本での生活を上手に過ごすための知恵というかHowToのようなものです。ただ、これも勉強会の時によく聞きますが

「お金を「しはらう」好きな人は いますか?」と聞くと…
  →みんな本当に良い笑顔で「いません!」と答えてくれます。

また、「あいてが日本人でもインドネシア人でもケンカするのが好きな人はいますか?」と聞いても…
  →みんな 本当に 良い笑顔で「いません!」と答えてくれます。

それはそうですね。

実は、日本のルールに関しては、すでに知っている実習生も多く居て、全員が全く知識がないわけではありません。すでに実習生として日本で頑張っている友達や、ネットからも情報を得ているようです。

ただ、全員が同じレベルで知識を持っているわけではありませんし、友達からの情報というのも、全ての実習生が同じ条件ではないので、100%正確とは言い切れません。ですので、日本で生活する上での「ルール」を教える、というのも非常に重要です。

ただ、それと同等に大切な事として、先輩たちの失敗を通して、目に見えない、ルールや法律ではないけれど、日本で生活する3年間で重要になってくることも勉強してもらっています。

日本での生活で大事な事とは

日本での生活で大切なことは「2つ」
そして先輩たちの失敗から学ぶことも「大きく2つ」だと思います。

1 自分の言いたいことは、かんたんな日本語で言えること。特に、ケガと病気。

これはとても重要です。

もちろん、組合のインドネシア人スタッフも通訳として助けますが、例えば、「実習中、急に」だとか 「夜中に、体調が悪くなった」というような場合、まずは自分ひとりでもかんたんになら伝えられる という力は重要です。

特に40℃越が当たり前になりつつある日本の夏はインドネシアよりも暑いです。熱中症という病気についても勉強しています。そして もう一つ。

2 分らない時、分からない。と伝えること。

受入企業様の中には頷いてくださる方も多いのではないでしょうか。

この点は非常に大切なので、全ての勉強会を通して、わからない事が前提の話をして、手を挙げて質問してもらう流れを無理やり作ったりもしています。

わからない時、わからないと伝える、を習慣にしてもらうためです。なので わからない時に なぜわからない!? と怒ったりは絶対にしません。

勉強中
分らない時は聞こう!そして、聞いたことはメモしておこう!

先輩たちの「失敗」から学ぶこと

先輩たちの失敗から学ぶことは、たくさんありますが、一言で言うなら

「必要ない出費につながる失敗をしないこと」と、「日本人や会社の他の国からの実習生など 周囲の人たちと良い関係をつくること」この2つになると思います。

必要ない出費につながる失敗をしないこと

実習生たちにとって、寮での生活のトラブルや、私物の管理のトラブルなど、余分な出費につながる失敗は実は少なくありません。

最初から知っていれば避けられるようなトラブルについては、この勉強会でみっちりと学んでもらいます。(幸い(?)これまでのトラブルの実例はたくさん持っていますので・・・)

日本人や会社の他の国からの実習生など 周囲の人たちと良い関係をつくること

日本語を学ぶ意義の第一は、もちろん生活と実習のためなのは間違いありませんが、個人的には周囲の日本人と良い関係を作るためにもとても大事だと思います。

会社に別の国からの実習生がすでにいる場合でも同様ですね。

実習3号や、特定技能にステップアップした実習生達を思い出すと、だいたいみんなが周囲の方々と良い関係を築くことができています。この点も勉強会では重視しています。

組合がやる意義

もちろん、送出機関でも ポイントポイントでは、このような日本へ行ってから注意すべき事を教えてくれています。しかし部分的になる事や、同じ企業への配属でもAくんは教わった、Bくんは教わっていない、というような状況になる事もどうしても多少はあるようです。

また、教えてはいるものの、送出Aと送出Bで、内容が少し違う・・・ということも。

なので、重要度の高い事柄については、ヤマトの実習生ならみんなが一度は学んだことがある、という状況にするためにこの勉強会を行っています。

また、同じ企業様に配属される実習生同士でも、日本語能力にある程度差があるとクラスが分かれる事もあります。そのような状況でもこの勉強会では同じクラス。実習生同士が良い関係を築くにも、良い影響があります。

効果が見えてきた

訪日した実習生が増えるにつれ、この勉強会の効果も少しずつ見え始めています。
例えば、「排水溝に油を流しては行けない」という点については、料理の後、油を一度全てどんぶりに移して、捨てないようにしている実習生がいます。えらい!

また、これはもともとの彼らの性格や、受入企業様、先輩となるベトナムからの実習生たちが上手くやってくれている点も非常に大きいと思いますが、人間関係でのトラブルもなく、企業様から大切にしていただいている話も多く聞こえてきます。

もちろん、この効果を確認するにはまだまだたくさんの実習生の日本へ行ってからを知る必要がありますし、それによっては勉強会の内容を少し変えなくてはならないでしょう。

ただ、現時点では多くの実習生たちが上手くやれている様子です。
とても嬉しい事ですね。

スケジュールと報告

こういった事を学ぶ勉強会を、送出機関学校を卒業するまでの期間内で通常8~9回で行っております。これは毎回なのですが、後半になるにつれ日本語の理解も進み、より、手が挙がるようになります。日本へ行く実感がわいてくるのか、顔つきもだんだんと精悍になっていく者も多いです。

そしてこの勉強会を通しての成長の様子を中間、最終の、2回の教育報告として作成しております。
送出機関からも、同様の報告は挙がってくる状況ですが、
私の方からも日本語能力とその成長や個別の性格など、
会社に行くまでの成長の様子を、かんたんですがご報告させていただきます。

あれもこれもと 教えたいことは正直たくさん(特に関西に行く実習生には関西弁を教えたい・・・)ありますが、色々教えすぎる事で、最も重要な部分がぼやけてしまうと良くありません。
ですのでこの回数としていますが、もう一つの理由もあります。8~9回というのは
もし企業様から「日本へ来る前に是非、これを教えてあげてほしい!」という依頼があれば、行う余地を残した回数でもあります。
ご希望の企業様は是非担当者まで。
これまでも何度か行っていますが、ご依頼があればいつでも。
 +1回の勉強会を行う準備はできています!

パスタを食べるのも立派な10回目の勉強会。
これは実習生からのリクエストでやった10回目。

このこたち、元気にやってるかなあ・・・

それでは また!


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